2007年9月15日(土)

土手は虫たちの大合唱 綾瀬川で「虫の音を聞く会」

 

 越谷市と川口市の境を流れる綾瀬川でこのほど「虫の音を聞く会」が開かれ、小さな子どもや市民たち計四十人が参加した。好天に恵まれ、コオロギやカンタンなど、日没後の土手は虫たちの大合唱だった。

夜の土手は生き物たちがいっぱい。子どもらが大きなカマキリを捕まえた。右端は幾島さん=綾瀬川の綾瀬の森

 川の浄化・再生、自然の保全に取り組んでいる「綾瀬川を愛する会」が川口市戸塚公民館と協力して開いた。参加者は午後三時に戸塚公民館に集合。野草や虫など、土手の生き物について、同会会員で同市安行の植木業、横山隆さん(44)の解説を聞いた。

 会場には、横山さんが綾瀬川の土手や自宅の庭で捕まえた生きた虫十二種が展示された。それを見ながら、パソコンの映像を交えての解説。

 コロコロリーリーと鳴くエンマコオロギ。チンチンチンチンと鳴くカネタタキ。街路樹の上でリーンリンリンと続ける外来種のアオマツムシ。百年前に中国から来たという。

 カンタンは薄緑色で、体長が三センチほどの細い小さな体。漢字で邯鄲と書く。「ローローローと、低くきれいな鳴き声で、虫の女王といわれてます。でも実際に鳴くのはオスだけです」と横山さん。「捕まえるのはかんたんではないよね」と、横山さんの長男、安行東小四年生の聞(ぶん)ちゃん(9つ)と一年生の妹、あんちゃん(7つ)。

 それから歩いて約二十分。途中の民家の生け垣でカネタタキ、街路樹の葉の上でアオマツムシが鳴いていた。綾瀬川の土手はすっかり日が暮れて、虫たちの大合唱。聞き分けるのは難しいが、横山さんの耳の力で、カンタン、ミツカドコオロギ、エンマコオロギの音色を聞くことができた。

 お父さんと一緒の安行東小三年生、盛永悠太君(8つ)と幼稚園の弟洪太君(6つ)が大きなカマキリを捕まえた。子どもたちが集まって大はしゃぎだった。

 「こんなに身近な所に、たくさんの生き物がいることを感じてもらえればいい。虫たちにとって、この土手は救いの場所なんですね」と横山さんは言う。

 愛する会の代表、幾島淑美さんは「土手の自然を楽しみ、親しみを感じてほしい」。同会は五年前の河川改修で失われた水辺の森を「綾瀬の森」と名付け、その再生を目指し、植樹や、川の生き物を調べる活動を続けている。





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